調理師の平均年収は379.1万円|給料・手取り・賞与と年収を上げる方法
「毎日厨房に立っているけれど、自分の給料は同業と比べてどうなのだろう」
給料の話は、厨房では口に出しにくいものです。同期に聞くわけにもいかず、上司に切り出すきっかけもない。気づけば、自分の水準が高いのか低いのか分からないまま何年も経っている。そんな方は少なくないはずです。
ひとつの目安になるのが、調理師の平均年収379.1万円という数字です。12カ月で割ると、月あたりおよそ31.6万円。ただしこの金額には賞与や残業代も含まれているので、毎月31.6万円が振り込まれるというより、1年分をならした「見え方」だと考えてください。手取りにすると、年間でおよそ290万〜310万円が目安になります。
ただ、先に結論をお伝えします。
あなたの給料が適正かどうかは、この379.1万円と比べても分かりません。
決めているのは、いま任されている仕事の中身と、それを評価する仕組みが職場にあるかどうか。
この2つです。
この記事では、平均年収の読み方から始めて、その2つをどう確認すればいいのか、そして年収を上げるための具体的な進め方までを紹介します。
調理師の平均年収は379.1万円
まずは全体像から確認していきましょう。
年収と平均年齢は、「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにしています。求人賃金と有効求人倍率は、「令和6年度のハローワーク求人統計」に基づく数字です。
ここで知っておきたいのは、この379.1万円が「調理師免許を持っている人」を集めた数字ではないという点です。
厚生労働省のjob tagに掲載されている「西洋料理調理人」「日本料理調理人」の統計をもとにしているため、免許の有無で線を引いたものではなく、調理の仕事に就いている人全体の目安として捉えてください。
平均年齢44.9歳、という数字の読み方
表を見て、「44.9歳で379万円ということか」と受け取った方もいるかもしれません。ここは少しややこしいところなのですが、379.1万円も44.9歳も、どちらも調査対象者全体をならした平均です。入りたての20代も、料理長を務める50代も、すべて同じ器に入れて平らにした数字だと考えてください。
ですから、40代で年収379万円に届いていないとしても、それだけで「同年代より低い」と判断する材料にはなりません。
では、何を見ればよいのか。
→ 見るべきは年齢ではなく、いまあなたが任されている仕事の中身です。
同じ40代でも、料理長として原価と人員を管理している人と、持ち場をひとつ担当している人とでは、評価される内容が違います。
では、いまの自分の給料は、担当している仕事に見合っているのか。
比べる相手を、平均年収から求人票に変えてみましょう。
あなたの月給を、いま出ている求人と比べてみる
令和6年度のハローワーク求人統計によると、求人賃金の年間平均は西洋料理調理人が月額27.4万円、日本料理調理人が月額28.2万円です。
→ 求人賃金の27万〜28万円台は、これから採用する人に提示される金額です。
何年も現場に立ってきた方であれば、本来はこの水準を上回っていておかしくありません。
もし届いていないなら、経験が給与に反映されていない可能性があります。
賞与と手取りは、求人票の外で確認する
月給を比べたところで、もうひとつ確認しておきたいものがあります。賞与です。
同じ月給でも、賞与の支給実績によって年収は大きく変わります。
月給28万円で賞与2カ月分の職場と、月給30万円で賞与なしの職場。
月給の額面では後者が高く見えますが、年収では前者が上回ります。
→ 求人票を見るときは、「賞与あり」の表記だけで安心しないことが大切です。
賞与については、ホテルか個人店か宴会場かで支給の考え方がまるで違うため、「調理師なら何カ月分」と言える目安がありません。応募先ごとに確かめるしかない項目です。
応募先に確認したいのは、次の4点です。
・前年度の賞与実績
・賞与の計算対象が基本給か月給か
・業績によって支給額が変わるか
・入社初年度も支給対象になるか
求人票に書かれていなければ、面接や応募前の相談で聞いておくと安心です。
手取りについては、年収379.1万円の場合で年間およそ290万〜310万円が目安。
月平均にならすと、24万〜26万円ほどになります。
調理師の年収は年齢・経験でどう変わる?
job tagでは、令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした年齢別の年収グラフも公開されています。
ただし統計は、西洋料理調理人や日本料理調理人だけを個別に集計した数字とは限りません。
この記事では、年齢別の金額を単純に比べるのではなく、当社が求人を取り扱う中で見てきた、年代ごとに任されやすい役割と評価につながりやすい経験を整理します。
| 年代 | 任されやすい役割 | 評価につながりやすい経験 |
|---|---|---|
| 20代 | 基本業務や複数の持ち場 | 基本技術・衛生管理・段取り |
| 30代 | 発注や後輩指導 | 原価管理・在庫管理・人材育成 |
| 40代 | 料理長や管理業務 | 人員・品質・利益の管理 |
| 50代 | 教育や品質管理 | 技術継承・メニュー開発・業務改善 |
年収を左右するのは、年齢でも勤続年数でもありません。
いま何を任されているか、そしてそれが給料に反映される仕組みが職場にあるかどうかです。
次のセルフチェックで確認してみてください。
現在の給料は仕事内容に見合っているか【セルフチェック】
まず、左側の「現在の状態」に当てはまる項目があるか確認してください。
当てはまるものがあれば、右側の内容を給与明細、就業規則、上司への質問などで確かめてみましょう。
| 現在の状態 | 確認したいこと |
|---|---|
| 発注や原価管理も担当している | ✅ 業務範囲が基本給や手当に反映されているか |
| 後輩教育やシフト管理を任されている | ✅ 役職登用の条件と時期が決まっているか |
| 役職が付いても給料がほとんど変わらない | ✅ 責任の重さと役職手当が釣り合っているか |
| 数年間、昇給額がほとんど変わらない | ✅ 現在の等級で給与上限に達していないか |
| 月給に占める固定残業代の割合が大きい | ✅ 基本給の額と実際の残業時間 |
| 上位の役職に空きがない | ✅ 現在の職場で昇格できる見込みがあるか |
職業調査でも、原価やコストの管理、従業員の教育・指導、シフト管理などは、多くの調理人が担当している業務として示されています。一般スタッフ全員が必ず担当する仕事ではなく、本来は給与や役職の評価につながり得る業務です。
据え置きの5年で、失うもの
当てはまる項目があった方に、一度考えてみてほしいことがあります。
仕事が増えれば、いずれ給料も上がる。そう考えたくなる気持ちはよく分かります。
ただ、昇給の条件が明確でない職場では、増えた仕事がそのまま通常業務として定着し、給与に反映されないまま何年も過ぎてしまうことがあります。
求人賃金が上がり続けるなかで、自分の給料だけが5年間据え置きだったとします。
年20万円の差が開いていれば、5年で100万円。据え置きの期間が長引くほど、外部との差は広がっていきます。
しかも、失うのは金額だけではありません。
40代後半で「持ち場をひとつ担当してきた10年」と「原価と人員を管理してきた10年」では、次の職場での評価がまったく違います。据え置きの期間は、給料だけでなく経歴も止めてしまいます。
→ 数年間昇給していないなら、確認すべきは仕事の量ではなく、評価や昇給の仕組みそのものです。
何をすれば給料が上がるのかが決まっていない職場では、仕事を増やしても給与には届きません。
1つでも気になる項目があった方へ
現在の担当業務や役職をもとに、ほかの職場ではどの程度の待遇で評価される可能性があるかを無料で確認できます。転職を決めていない段階でも、お気軽にご相談いただけます!
給料が上がらない理由は、本人の努力不足とは限らない
担当する仕事が増えているのに、給料は変わっていない。
その場合、本人の技術や努力以外の部分に、原因があるかもしれません。
給料が上がりやすい職場には、主に2つの条件があります。
1.昇給の仕組みがある
1つ目は、「何をすれば、どのように給料が上がるのか」が決まっていることです。
例えば、次のような基準です。
・定期昇給があるか
・昇給の評価基準が決まっているか
・役職登用の条件が明確か
・役職手当の金額が決まっているか
こうした基準が曖昧な職場では、仕事が増えても、給料を上げるための根拠が明確になりません。
2.昇格できる役職がある
2つ目は、昇格できる役職やポストがあることです。
評価制度が整っていても、料理長や責任者のポストが埋まっていれば、すぐに昇格することは難しくなります。
また、現在の職場に、教育、品質管理、メニュー開発といった上位の役割自体がないケースもあります。
仕組みと役職のどちらかが欠けている職場では、本人の努力だけで給料を上げるのが難しい場合があります。
求人賃金が前年同月を上回る月が続く中で、現在の給料が長期間変わっていない場合は、外部との待遇差が少しずつ広がる可能性もあります。
今の職場で何ができるかを考えると同時に、ほかの職場では自分の経験がどう評価されるのかを知っておくことも大切です。
年収400〜600万円で働く調理師は何が違うのか
当社が取り扱った求人には、料理長や副料理長候補などで、想定年収400〜600万円の募集例があります。
これは求人企業が提示した想定年収であり、実際の決定年収を保証するものではありません。賞与や各種手当の扱いも、求人によって異なります。
こうした年収帯の求人では、調理技術に加えて、次のような「厨房を動かす経験」が評価されることがあります。
・原価率や廃棄の管理や改善
・スタッフの教育やシフト管理
・大人数分の料理を決められた時間に同じ品質で提供する運営力
・メニュー開発
・業務手順の標準化
どれも、特別な才能がなければできない仕事ではありません。
日々の業務の中ですでに担当しているものの、自分では「普通の仕事」と考えている人も少なくありません。
大切なのは、その経験を給与や役職に反映する評価制度が、勤務先にあるかどうかです。
調理師が年収を上げる方法
年収を上げる主な方法は、次の2つです。
・現在の職場で昇格や昇給する
・自分の経験を評価してくれる職場へ移る
現在の職場に昇給の仕組みと役職の空きがあるなら、まずは現職での昇格を目指せます。
一方、評価基準が示されない、昇格できる役職がないという場合は、ほかの職場も選択肢に入ります。
どちらを選ぶ場合でも、最初にやることは同じです。
まずは担当業務を具体的な数字で整理する
「調理経験20年」だけでは、担当してきた仕事の規模や責任までは伝わりません。
普段の仕事を、人数、食数、金額、割合などの具体的な数字に置き換えてみましょう。
「後輩を育ててきた」→「調理スタッフ6名を指導」
「宴会も任されていた」→「最大120名分の宴会調理を進行」
「発注も担当している」→「月200万円分の食材発注と在庫管理を担当」
「原価も管理している」→「原価率を32%から29%に改善」
数字に置き換えることで、自分がどこまでの業務を担当してきたかが客観的に伝わりやすくなります。
現職では昇給交渉の材料になり、転職では職務経歴として評価される材料になります。
ルート1:現職で上げる
まずは、現職において昇給や役職登用の基準を上司に確認します。
そのうえで、自分が担当している業務や実績を数字で伝えましょう。
「頑張っています」と伝えるよりも、
・原価率を3ポイント改善した
・調理スタッフ6名を教育した
・最大120名分の宴会を管理した
と数字で示す方が、会社側も判断しやすくなります。
調理師免許が資格手当や役職登用の条件になっている職場では、免許の取得も選択肢です。
ただし、評価基準を満たしても給料が上がらない、そもそも基準が示されない場合は、現職での交渉だけでは解決しにくい可能性があります。
ルート2:経験を評価する職場へ移る
同じ調理経験でも、勤務先によって評価されるポイントは異なります。
個人店では日常業務として行っていたことが、ホテルや婚礼・宴会場では、役職や給与を判断する材料になることもあります。
| 職場 | 評価されやすい経験 | 確認したい条件 |
|---|---|---|
| ホテル | 宴会・大人数調理・原価管理・人員管理 | ✅ 役職制度・配属・賞与 |
| 婚礼・宴会場 | 提供進行・品質管理・他部門との連携 | ✅ 繁忙日・拘束時間・手当 |
| 企業運営レストラン | 業務の標準化・教育・多店舗対応 | ✅ 昇格基準・異動 |
| 個人経営の飲食店 | 専門技術・メニュー開発 | ✅ 昇給基準・賞与実績 |
| 病院・福祉施設 | 大量調理・衛生管理・個別食対応 | ✅ 早番・資格手当・休日 |
| 学校・社員食堂 | 大量調理・時間管理 | ✅ 雇用主・長期休暇中の扱い |
給与水準だけで職場を選ぶのではなく、自分の経験がどのように評価されるかも確認することが重要です。
ホテル、病院、給食施設など、調理師免許が応募条件になっている職場を希望する場合は、免許の取得も検討してください。
職場別の年収や、料理長や独立を含めたキャリアについては、「料理人の年収はどれくらい?平均年収・職場別の違い・収入を上げる方法」で詳しく解説しています。
ルート3:働き方そのものを変える
年収を上げることだけが答えとは限りません。
正社員としての拘束時間や責任が負担になっている場合、派遣に切り替えて勤務日数や時間を調整するという選択もあります。
八芳園ヒューマンリソースマネジメントでは短期・長期・無期を問わず求人を扱っているため、現場に立ち続けながら働き方だけを変えることも可能です。
→ 時給換算では収入が上がるケースもあります。
「年収を上げたいのか、時間あたりの割に合わなさを解消したいのか」を切り分けてみてください。
転職すれば、必ず年収が上がるわけではありません
ここまで職場を変える選択肢をお伝えしてきましたが、正直にお伝えしておきたいこともあります。
当社に寄せられる求人は、即戦力として現場を任せられる方を求めるものが中心です。
裏を返せば、いま担当している業務の幅がそのまま評価の対象になるということでもあります。
未経験の業態に移る場合は、一時的に年収が下がることもあります。
ホテルや宴会場は年収水準が高い一方、繁忙期の拘束時間は個人店より長くなりがちです。
役職に就けば、休日の呼び出しも現実に起こります。
年収だけを基準に選ぶと、働き方の面で「前のほうがよかった」となることもあります。
→ だからこそ、求人票は月給の欄だけを見て終わりにしないでください。
次に挙げる項目まで並べて、はじめて比較になります。
求人票も「同じ物差し」で比べる
求人票を見るときは、月給の総額だけで判断しないことが大切です。
最低限、次の項目を確認しましょう。
・手当を除いた基本給
・固定残業代の金額
・固定残業代に含まれる時間
・賞与の前年度実績
・昇給実績
・年間休日
・実際の残業時間
現在の職場を確認したときと同じ項目で、転職先の条件も並べてみてください。
「月給30万円」という数字だけで判断すると、基本給は上がっていても、休日が減ったり残業時間が増えたりすることがあります。
年収だけでなく働き方も含めて比較する。それが、転職後に「こんなはずではなかった」となるリスクを減らす一番の方法です。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 調理師の年収は、世間の平均と比べて低いのですか?
A. 国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者全体の平均給与は478万円です。
数字の上では、調理師が379.1万円で下回ります。
ただし478万円は、業種も職種も問わず給与所得者全体をひとまとめにならした平均です。
調理という特定の職業分類だけを切り出した379.1万円とは、集計している人の範囲が違います。
世の中の相場感として参考にする程度にとどめ、自分の給料が見合っているかどうかは、担当業務や役職と照らして判断するのがおすすめです。
Q. 日本料理と西洋料理で調理師の年収は違いますか?
A. 平均年収は、日本料理調理人・西洋料理調理人ともに379.1万円とされています。
ただしこの数字は、それぞれの料理ジャンルだけを個別に集計したものとは限らないため、実際の平均が完全に同じであることを示すものではありません。
求人の側を見ると、ハローワークの求人賃金は日本料理調理人が28.2万円、西洋料理調理人が27.4万円。有効求人倍率は日本料理調理人が4.71倍、西洋料理調理人が3.19倍となっています。
料理ジャンルだけでなく、役職、勤務先、労働時間、担当業務まで含めて比較するのがおすすめです。
Q. 調理師が年収500万円を目指すには何が必要ですか?
A. 料理長などの役職に加え、原価管理、人材育成、大人数調理、メニュー開発といった、厨房運営に関わる経験が評価されます。
そして同じくらい重要なのが、その役割を給与や役職に反映する評価制度がある職場を選ぶことです。
八芳園ヒューマンリソースマネジメントに登録されている方は、年収400〜600万円を中心とした層です。
500万円は、経験の中身次第で十分に射程に入る水準といえます。
Q. 調理師免許がなくても年収は上げられますか?
A. 免許がなくても、調理業務に就くこと自体は可能です。
ただし調理師法上、「調理師」と名乗れるのは都道府県知事の免許を受けた人に限られます。
また求人によっては、調理師免許が応募条件、資格手当、役職登用の条件になっている場合があります。
条件は勤務先ごとに確認してください。
Q. 調理師の手取りはいくらですか?
A. 年収379.1万円の場合、年間の手取りはおよそ290万〜310万円が目安です。
月平均にならすと、24万〜26万円ほどになります。
これは独身・扶養なし・40歳未満・社会保険加入・住民税ありとして計算した当社試算です。
実際の金額は、年齢、家族構成、居住地域などによって変わります。
Q. 調理師の給料が上がりやすい職場はどこですか?
A. 一概には言えませんが、評価制度や役職が整備されている職場では、担当業務の広がりが昇給や昇格に反映されやすくなります。ホテル、企業が運営する飲食店、規模の大きい宴会場などがその例です。
ただし勤務先の種類だけで判断するのではなく、自分の経験を評価する制度があるか、役職に空きがあるかまで確認しておきましょう。
まとめ:年収を決めるのは、業界水準ではなく担当業務と職場の制度
この記事でお伝えしたかったのは、あなたの年収を決めているのは業界の水準ではなく、いま任されている仕事の中身と、それを評価する職場の制度であるということです。
だからこそ、給料が上がらないとき、まず疑うべきは自分の頑張りではありません。
もし数年間給料が変わっていないなら、次の点を確認してみてください。
・担当業務が給料に反映されているか
・昇給や役職登用の基準があるか
・今後昇格できる役職があるか
・ほかの職場では自分の経験がどう評価されるか
八芳園ヒューマンリソースマネジメントの無料キャリア相談では、現在の年収、経験年数、役職、担当業務をもとに、待遇が仕事内容に見合っているかを一緒に確認します。
転職を前提とせず、現在の職場に残る選択も含めてご相談いただけます。
まずは、自分の経験がほかの職場でどのように評価されるのかを知るところから始めてみませんか?