飲食店存続には、”FLコスト比率”の管理が非常に重要!

~はじめに~

売上があるのに手元にお金が残らない…。
その原因の多くは、飲食店の”FLコスト比率”の管理が適切に行われていないことにあります。

実際に、経営が苦しい飲食店の大半はFLコスト比率の管理に問題を抱えています。これは決して珍しいことではありません。多くの飲食店経営者が同じ悩みを抱えているのです。

しかし、適切なFLコスト比率の管理ができれば、同じ売上でも手元に残るお金は大きく変わります。

この記事では、飲食店のFLコスト比率の管理について詳しく解説していきます。

飲食店存続には、”FLコスト比率”の管理が非常に重要!


なぜ「売上があってもFLコスト比率が悪いと手元にお金が残らない」と言われるのかのか?

多くの飲食店経営者が抱える「忙しいのに儲からない」という現象には、明確な理由があります。
それは、売上の増加とコストの増加のバランスが崩れているからです。

売上に対して飲食店のコストは大きく分けて、食材費、人件費、そして家賃や光熱費などの固定費で構成されています。多くの経営者は売上にばかり注目してしまいがちですが、FLコスト比率をもとに良し悪しを考えることで、「今は人を増やすタイミングなのか。」「高級食材を扱って新メニューを開発するべきタイミングなのか。」を数字で判断することが出来ます。

FLコスト比率を見ずに行動してしまうと失敗する可能性が高まります。
FLコスト比率というのは経営の指針であり、支店管理や店舗の成長に欠かせない要素です。

忙しい日が続けば続くほど、管理が行き届かずにコストが増大してしまう。
売上は上がっているのに、なぜか手元にお金が残らない。
この悪循環から抜け出すためには、売上を追求するだけでは不十分なのです。

では、このFLコスト比率とは一体何なのでしょうか。
なぜ多くの成功している飲食店がFLコスト比率を重視しているのでしょうか。

FLとは?”FLコスト”と”FLコスト比率”の違い

FL(エフエル)とは、Food(食材費)とLabor(人件費)を合わせた飲食業界の用語です。

・F = Food(食材費)
・L = Labor【レイバー】(人件費)

※ちなみに、これにR = Rent(家賃)を加えた「FLR」という指標もあります。

コストは主に以下の3つの要素で構成されています。

・人件費(スタッフの給料など) ・食材費(料理に使う材料費) ・固定費(家賃、光熱費など)

利益を増やすためには、売上を増やすかコストを減らすかのどちらかになりますが、今回は経営者がコントロールしやすく、効果が出やすいコスト管理に焦点を当てて考えていきます。


固定費(家賃・光熱費)や税金などの様々な支出がある中で、経営者が直接コントロールできるのは人件費と食材費になります。この2つの費用「FL」をコントロールすることが、飲食店経営成功の鍵となるのです。

”FLコスト”と”FLコスト比率”とのちがい

FL管理では「FLコスト(金額)」と「FLコスト比率(売上に対する割合)」の2つの指標があります。重要なのは金額ではなく、売上高に占める割合である「FLコスト比率」になります。

なぜなら、同じFLコストでも売上によって経営への影響が全く異なるからです。

FLコスト比率こそが飲食店経営の成否を分ける重要な指標です。
以下では、FLコスト比率管理について詳しく説明していきます。

FLコスト比率管理から考える、飲食店が長続きする秘訣

FLコスト比率管理の調整は主に、

・シフトの見直し(Labor調整)
・仕入れ先の変更(Food調整)
・メニューの調整(Food調整)
などです。

FLコスト管理を考える上で重要になるのがFLコスト比率です。

FLコスト比率(%)= (食材費 + 人件費)÷ 売上高 × 100

なぜFLを比率で見る必要があるのでしょうか。
答えは、FLの金額だけでは適正かどうか判断できないからです。

例えば、月のFLコストが100万円だったとします。

・売上150万円なら66.7%(危険水準)
・売上200万円なら50%(良好)
・売上300万円なら33.3%(優秀)

一般的に、飲食店のFLコスト比率は60%以下が健全な経営の目安とされています。

経営者の想いと店舗の存続を両立させる”FLコスト比率”管理


この60%の内訳に経営者の価値観が現れます:

・食材重視型:Food 40% + Labor 20% = 60%
・サービス重視型:Food 25% + Labor 35% = 60%
・バランス型:Food 30% + Labor 30% = 60%

どこに重点を置くかで、店の個性が決まります。

しかし、合計60%を超えると、どんなに素晴らしい料理やサービスを提供していても、お店は赤字になってしまいます。

60%という枠の中で理想を実現していく。それが経営者の腕の見せ所なのです。

なぜFLコスト比率は設定した数値からずれてしまうのか?

FLコスト比率を60%に設定したからといって、毎月その数値を維持できるかというと、現実はそう甘くありません。多くの飲食店がFLコスト比率管理で苦戦する理由は、想定外の変動要因が数多く存在するからです

最も大きな影響を与えるのが季節変動です。
例えば、夏場の猛暑日にはドリンクの売上が急増する一方で、雨の日が続けば客足が遠のき、計画していた売上を大幅に下回ることがあります。
このような売上変動に対して、人件費の調整が追いつかないケースが頻発します。

人手不足も深刻な問題です。
計画では時給1,000円のアルバイトで回す予定だったシフトが、人が集まらずに時給1,300円の経験者や、最悪の場合は残業代込みの正社員で対応せざるを得ない場合も。
Laborの割合が一気に跳ね上がる原因です。

食材価格の変動も無視できません
特に昨今の原材料費高騰は深刻で、仕入れ値が20-30%上昇しても、メニュー価格をすぐに改定できない店舗は多く、Food割合が計画を大きく上回ってしまいます。

そして意外に多いのが、経営者自身の判断ミスです。
「今月は売上が良いから」と安易にスタッフを増やしたり、「お客様のために」と原価率の高い食材に変更したりと、感情的な判断がコスト比率を押し上げる要因となることも少なくありません。

このように、コスト比率管理は一度決めたら終わりではなく、常にチェックして調整していく必要があります。

コスト比率管理で重要なことと陥りやすい落とし穴

効果的なコスト比率管理を行うには、人件費と食材費それぞれの管理のポイントを理解することが大切です。

Food(食材費)管理のポイント

食材費で最も重要なのは「原価率」をきちんと計算することです。
各メニューの原価率は30%以下に抑えるのが理想です。


しかし、多くの経営者が「お客様に喜んでもらいたい」という気持ちから、つい高級食材を使ってしまいます。気持ちは分かりますが、原価率が40-50%のメニューばかりでは利益が出ません。


もう一つ見落としがちなのが「食材の無駄」です。
仕入れすぎて食材を捨てることになれば、計算上の原価率よりもさらに高くなってしまいます。
「安く仕入れたから」と大量購入しても、結果的に損をするケースが多いです。

Labor(人件費)管理のポイント

人件費で最も重要なのは「適正な人員配置」です。
忙しい時間帯に人手不足になるとお客様をお待たせしてしまいます。
逆に暇な時間帯に人が多すぎると、人件費が無駄になります。


しかし、多くの経営者が「人情」で判断してしまいがちです。
「頑張っているスタッフだから」「断りづらいから」という理由でシフトを入れすぎて、人件費が予算オーバーしてしまうケースがよくあります。


また、時給の安いアルバイトばかりに頼るのも危険です。
経験不足で作業効率が悪ければ、結果的に多くの人数が必要になり、トータルの人件費が高くなることもあります。「安い時給=人件費削減」とは限らないのです。

効果的な管理方法

成功している店舗は、週単位でFLコスト比率をチェックしています。月末に「今月は赤字だった」と気づいても手遅れです。週ごとに数字を見て、早めに調整することが重要です。
しっかりFLコスト比率管理を行い、週ごとに数字で判断することが成功の秘訣です。

なぜ多くの経営者がFLコスト比率管理で挫折するのか?

FLコスト比率管理の重要性は理解していても、実際に継続できる経営者は意外に少ないのが現実です。なぜ多くの方が途中で挫折してしまうのでしょうか。

数字への苦手意識

最も多いのが「数字が苦手」という理由です。
料理が好きで飲食店を始めた経営者にとって、毎日の売上や原価率の計算は面倒に感じてしまいます。
「大体このくらいかな」という感覚で経営してしまい、気がついたときには赤字になっているパターンです。

完璧を求めすぎる

真面目な経営者ほど陥りがちなのが「完璧主義」です。
FLコスト比率を60%ぴったりに保とうとして、少しでもずれると「失敗した」と感じてしまいます。
しかし、飲食店経営に完璧はありません。多少のずれは当然のことと考えることが大切です。

孤独感とプレッシャー

FLコスト比率管理は基本的に経営者一人で行う作業です。
「誰にも相談できない」「間違っているかもしれない」という不安から、途中で投げ出してしまう方も多くいます。

すぐに結果を求めすぎる

FLコスト比率管理の効果はすぐには現れません。
1-2ヶ月継続してようやく効果が見えてくるものです。
「やってもすぐに結果が出ない」と感じて、早々に諦めてしまうケースも少なくありません。

専門家と共に築く持続可能な経営

長く続く飲食店の経営者には一つの共通点があります。
それは「自分一人ですべてを抱え込まない」ことです。
料理のプロとして腕を振るい、接客のプロとしてお客様と向き合う。
そして経営の専門的な部分は、経験豊富なコンサルタントと二人三脚で取り組んでいます。

FLコスト比率管理を「やらない」ではなく「任せる」へ、専門家に相談を

FLコスト比率管理で最も重要なのは「正しい知識」と「継続的なサポート」です。
間違った方法で頑張っても、思うような結果は得られません。

飲食店経営のプロフェッショナルとして、私たちはあなたの店舗に最適なFLコスト比率管理方法をご提案し、持続可能な経営体制の構築をサポートいたします。


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