損益分岐点を下げて飲食店の利益を増やす方法!
~はじめに~
多くの飲食店経営者は「売上を増やそう」と必死に取り組んでいます。
一方で、いくらの売上があれば、どれだけ利益が残るのかを正確に把握できている経営者は意外に少ないのです。
損益分岐点とは、固定費+変動費の支出に対して売上が越えるポイントを指します。
損益分岐点を超える方法は、大きく分けて2つです。
1.売上を増やす
2.支出を減らす
そして実際には、「売上を増やす」よりも「雑費を減らす」「不要な支出を削る」といったコスト削減の方が、簡単かつ効果的な場合が多いのです。
売上を上げるには、新規顧客の獲得、リピーターの増加、客単価アップなど、時間のかかる施策が必要です。しかも、競合他店との競争も激しく、成果が出るまでに何ヶ月もかかることがほとんど。
一方で、支出を減らす方法ならすぐに始められて、確実に効果が出ます。
損益分岐点とは何なのか、そして損益分岐点を下げることでのメリットを、分かりやすくお伝えします。
損益分岐点って何?下げるとどうなる?
■損益分岐点って何?
損益分岐点を簡単に説明すると、「お店が赤字でも黒字でもない、ちょうどトントンになる売上金額」のことです。
たとえば、飲食店にかかる費用が月に合計で300万円だとします。
家賃、人件費、食材費、光熱費などを全部足した金額です。
この場合、損益分岐点は300万円になります。
・売上が300万円 → 利益0円(トントン)
・売上が280万円 → 20万円の赤字
・売上が320万円 → 20万円の黒字
つまり、損益分岐点より売上が少なければ赤字、多ければ黒字になります。
損益分岐点とは、固定費+変動費の支出と売上で計算される。
■損益分岐点を下げるとどうなる?
もし損益分岐点を300万円から250万円に下げることができたらどうでしょう?
同じ売上280万円でも:
・改善前:280万円 ≪ 300万円 → 20万円の赤字
・改善後:280万円 ≫ 250万円 → 30万円の黒字
売上を1円も上げることなく、赤字から黒字に転換できるのです。
これが、売上を上げるより損益分岐点を下げる方が効果的で確実な理由です。
まずは固定費を下げよう!これが一番効く
■なぜ固定費から手をつけるべきなのか?
理由1:効果が確実
固定費を1万円下げれば、確実に損益分岐点が1万円下がります。売上に左右されません。
理由2:効果が継続する
一度下げれば、その効果は毎月続きます。家賃を月3万円下げれば、年36万円のコスト削減になります。
理由3:今すぐできる
集客や売上アップと違って、固定費削減は交渉や見直しだけで実現できます。
■飲食店の主な固定費
まず、あなたのお店の固定費を整理してみましょう。
・家賃
・人件費(基本給部分)
・光熱費
・通信費(電話、インターネット)
・保険料
・その他月額でかかっている料金
この中で、家賃が一番大きな割合を占めているはずです。
しかも、家賃は交渉次第で下げられる可能性が高い固定費でもあります。
そのため、固定費削減は家賃交渉から始めるのが最も効果的です。
家賃交渉の仕方|一番効果的な方法
■家賃が損益分岐点に与える影響
家賃は固定費の中でも最も大きな割合を占めます。
月5万円の家賃削減ができれば、年間60万円のコスト削減。
これは売上に換算すると、相当な金額になります。
■家賃交渉の準備
1. 近隣相場を調べる
同じエリアの似たような物件の家賃相場を調査しましょう。
不動産サイトや地元の不動産屋で情報収集します。
2. お店の状況を整理する
・これまでの家賃支払い状況(滞納なし)→ これがないと交渉以前の問題になってきます。
・長期契約継続の意思→ 大家さんにとって一番のメリット
3. 交渉の材料を用意する
・近隣相場との比較データ
・長期契約継続の意思
・必要に応じて現在の経営状況
■具体的な交渉方法
話し方のポイント:
・「経営が厳しいので…」ではなく「長く続けていきたいので」
・具体的な金額を提示する
・近隣相場を根拠として示す
交渉が失敗した場合の次の手
・段階的な減額交渉(「半年後に再度相談」など)
・契約期間延長とセットでの交渉
その他の固定費も見直してみよう
家賃交渉の次は、その他の固定費も見直してみましょう。
一つ一つは小さな金額でも、積み重なれば大きな削減効果になります。
■人件費の最適化
・スタッフの待機時間を減らす
・効率的なシフト組みで人件費削減
・一人で複数の作業ができるよう教育
注意点: 人件費削減は慎重に。サービス品質が下がると、かえって売上減少につながります。
■光熱費を見直す
・LED電球への交換
・エアコンの温度設定見直し
・調理機器の効率的な使用
・携帯電話プランの見直し
・インターネット回線の契約見直し
・固定電話の必要性検討
■不要な契約・サービスの整理
・使っていないサブスクリプション
・効果の薄い広告契約
・過剰な保険契約
・使わなくなった機器やサービスの月額料金
■小さな削減でも積み重ねが大切
月1万円の削減でも、年間12万円。損益分岐点を下げる効果は確実にあります。
変動費の食材費も工夫して節約する
固定費の次は、変動費の中でも大きな割合を占める食材費を見直してみましょう。
■食材のムダをなくす方法
在庫管理の改善
・食材の使用期限を把握する
・”先入れ・先出し”を徹底する
・適正な発注量を見極める
調理方法の工夫
・野菜の皮や茎も活用する
・余った食材を別メニューに転用する
・冷凍保存を活用して食材ロスを減らす
■仕入れ先を見直す
複数の業者と比較
・同じ食材でも業者によって価格が違う
・品質を保ちながら安い仕入れ先を探す
・直接農家から仕入れる方法も検討
まとめ買いの活用
・冷凍できる食材はまとめて仕入れる
・他店との共同仕入れで単価を下げる
■利益の出るメニューに変える
原価率の見直し
・原価の高いメニューを把握する
・同じ食材で複数のメニューを作る
・季節の安い食材を使ったメニューを増やす
高収益商品を増やす
原価率の低い商品を意識的にメニューに取り入れましょう。
例えば:
・フライドポテト(じゃがいもは安価で原価率が低い)
・ドリンク類(特にソフトドリンク)
メニュー構成の工夫
・利益率の高いメニューを目立つ位置に配置
・セットメニューで客単価をアップ
・高収益商品をおすすめメニューとして紹介
やってはいけない節約
損益分岐点を下げるために節約は大切ですが、間違った節約をするとかえって売上が下がってしまいます。
■お客さんが嫌がる節約
食材の質を下げる
・安い食材に変えて味が落ちる
・量を減らしてお客さんをがっかりさせる
・冷凍食品ばかりになって手作り感がなくなる
サービスレベルを下げる
・スタッフを減らしすぎて接客が悪くなる
・清掃回数を減らして店内が汚くなる
・照明を暗くしすぎて雰囲気が悪くなる
■結果的に損する節約
安いものを買って結局損する
・安い設備を買って頻繁に故障する
・安い食材を大量購入して廃棄ロスが増える
・安い広告やサービスに手を出して効果がない
短期的な節約で長期的な損失
・スタッフの給料を下げて優秀な人材が辞める
・設備や什器の日々のメンテナンスを怠り、あとから大きな修理費がかかる
■正しい節約の考え方
お客さんの満足度は下げない
節約するのは「お客さんに見えない部分」から。
お客さんが直接体験する部分(料理、接客、店内環境)の質は絶対に下げてはいけません。
長期的な視点で判断する
一時的にお金がかかっても、長期的に利益につながることは投資として考えましょう。
変動費の節約を行った際には、どのくらい支出が減ったかを必ず確認しましょう。
売上を増やし支出を減らしたい場合は、プロに相談してください!
損益分岐点を下げつつ、売上を増やしたいという願望を叶えるためにはすべてを一人で進めるには大変です。
そんな飲食店経営者様へ。
私たち八芳園ヒューマンリソースマネジメントでは、飲食店専門のコンサルティングを行っています。
あなたのお店の状況に合わせて、最も効果的に売上を増やし、支出を減らすために当社が伴走致します。
まずは無料相談から始めてみませんか?
八芳園ヒューマンリソースマネジメント
https://happo-en-hrm.co.jp/