カフェ経営は難しい?「やめとけ」と言われる4つの失敗理由
「好きなコーヒーを淹れて、お客さんと会話して、自分らしく生きる」
そんな働き方、憧れますよね。
でも、「カフェ 開業」と検索すると、関連ワードには「やめとけ」「甘い」「厳しい」といった言葉が並びます。
飲食店専門のコンサルティングをする中で、私たちは本当に多くの方から「カフェを開きたい」というご相談をいただきます。
しかし、「好きなことを続けながら、ちゃんと生活できる」
これは十分に可能です。なぜ多くのカフェが失敗するのか?
この記事では、「やめとけ」と言われる本当の理由と、失敗を避けるために知っておくべきことを解説します。
正直に言うと、カフェは「大きく儲かる」ビジネスではありません。帝国データバンクの調査では、開業1年以内に約30%、3年以内に約60%が閉店しています。
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八芳園ヒューマンリソースマネジメントは飲食店専門のコンサルティングとして、
飲食店の開業・経営サポートを行っています。
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カフェ経営が「儲からない」と言われる3つの理由
正直に言います。
カフェ経営は難しく、飲食業の中でも特に利益を出しにくい業態です。
これは現場で何度も目の当たりにしてきた事実です。
「儲からない」と言われるのには、明確な理由があります。
では、なぜそう言えるのか?3つの理由を解説します。
■理由①:客単価が低い
ラーメン店なら一杯800〜1,500円、定食屋のランチなら800〜1,200円、
居酒屋なら一人あたり3,000〜4,000円の売上が期待できます。
それに対してカフェは、コーヒー一杯400〜600円。
デザートを追加しても、1,000円前後に留まることが多いです。
厚生労働省の調査でも、喫茶店の客単価は過半数が1,000円未満という結果が出ています。
客単価が500円と1,000円では、同じ売上を達成するのに必要な客数が2倍違います。
小さな店舗で、毎日多くのお客さんを集め続けるのは簡単なことではありません。
■理由②:回転率が悪すぎる
カフェに訪れる多くのお客さんは、時間をかけてゆったり過ごすことを求めています。
本を読んだり、作業をしたり、会話を楽しんだり。
これはカフェならではの魅力ですが、経営の視点では大きな課題です。
ランチタイムの飲食店なら1時間で2回転、居酒屋なら2〜3時間でお客さんが入れ替わります。
しかしカフェは、一人のお客さんが2時間以上滞在するのも当たり前。
以前サポートした店舗では、10席ほどの規模なのに、1日の来店客数が15人程度という日もありました。
これでは十分な売上を確保できません。
客単価の低さに加えて回転率も悪い、この二重のハードルが、カフェ経営を難しくしています。
■理由③:利益率が低すぎて手元に何も残らない
カフェ経営で多くの方が直面する現実が、「お客様は来ている。
売上もそれなりにある。
なのに手元にお金が残らない」という状況です。
●売上の7割が消えていく構造
カフェでは、売上からどんどん経費が引かれていきます。
原材料費と人件費で売上の50-55%。そこに家賃(10%)、光熱費(3-10%)、
その他の経費を加えると、売上の70%以上が経費で消えます。
カフェ業界全体の平均利益率は10%以下と言われていますので、
売上100万円でも、手元に残るのはわずか2〜3万円という計算になります。
■減らせない経費が経営を圧迫する
さらに厳しいのが、売上が落ちても減らせない経費があること。
家賃は客が1人でも100人でも同じ金額です。
光熱費の基本料金、保険料、ローン返済も毎月固定で出ていきます。
私がコンサルティングしたオーナーの中には、「毎日忙しく働いているのに、貯金を取り崩している」という方が何人もいました。
売上があっても、経費を払うと手元に何も残らない。
これがカフェ経営の厳しい現実です。
つまり、カフェという業態は、
【三重苦の構造】
① 客単価が低い(500〜1,000円)
② 回転率が悪い(1日1〜2回転)
③ 利益率も低い(平均10%以下)
この三重苦を抱えています。
だからカフェ経営は難しい、儲からない、やめとけ、そう言われているわけです。
でも、ちょっと待ってください。
ここまで読んで「じゃあカフェは諦めた方がいいのか」と思われたかもしれませんが、
そうではありません。
この構造を理解した上で、正しい戦略を立てれば、カフェでしっかり利益を出すことは可能です。
実際、繁盛しているカフェは、この三重苦を乗り越える工夫をしています。
それについては、後ほど詳しくお話しします。
次の章では、多くのカフェが陥る「失敗の落とし穴」を見ていきましょう。
ここを避けるだけで、成功率は大きく変わります。
カフェ経営を失敗する店が必ず陥る「4つの落とし穴」
■落とし穴①:「好き」だけで始めてしまう
「コーヒーが好き」「おしゃれな空間を作りたい」「お客様と会話するのが楽しそう」
カフェを開業する動機として、これらは素晴らしいことです。
しかし、「好き」だけでは経営は続きません。
「好き」と「経営できる」は別物です。
私が相談を受けたあるオーナーは、コーヒーへの情熱は人一倍でした。
豆の産地、焙煎方法、抽出技術にこだわり、自信を持って開業。
しかし、半年後に資金がショートして閉店しました。
理由は『数字をしっかり見ていなかった』ことです。
毎日何人のお客様が必要なのか。損益分岐点はいくらなのか。家賃と人件費のバランスは適切か。
こうした計算を一切せず、「美味しいコーヒーを出せば客は来る」と考えていました。
●必要なのは「経営者」としての視点
カフェ経営は、コーヒーを淹れる技術だけでは成り立ちません。
・毎日の売上と経費を記録し、分析する
・客単価と客数から目標売上を逆算する
・メニュー構成と原価率を管理する
・スタッフのシフトと人件費をコントロールする
これらは全て「経営者」の仕事です。
「好き」は開業の動機にはなりますが、継続するには「経営スキル」が必要なのです。
■落とし穴②:資金計画が甘い
カフェ開業で最も多い失敗が「資金不足」です。日本政策金融公庫のデータによると、飲食店の平均開業資金は1,077万円ですが、多くのオーナーがこの金額を「開業にかかる費用」だと誤解しています。
●開業資金だけでは足りない
開業資金1,077万円の内訳は、物件取得費、内装工事費、厨房機器、什器、初期仕入れなど。
しかし、開業後の運転資金を忘れているケースが非常に多いのです。
開業直後から黒字になるカフェはほとんどなく、
認知度ゼロの状態から徐々に客数を増やしていく期間が必要です。
運転資金の目安は月額家賃の10ヶ月程度です。
これを確保せずに開業すると、数ヶ月で資金がショートします。
●「自分一人でやれば大丈夫」の罠
「最初は一人でやるから人件費は要らない」と考えて開業したオーナーがいました。
しかし1ヶ月で音を上げました。
朝の仕込み、営業中の接客、調理、片付け、仕入れ、経理。毎日一人でこなすのは想像以上に過酷です。体調を崩せば休業。売上ゼロでも家賃は発生します。
結局スタッフを雇わざるを得なくなり、予定外の人件費が発生。
運転資金が底をつき、半年で閉店しました。
資金計画は「うまくいった場合」ではなく、「思い通りにいかなかった場合」で立てるべきです。
■落とし穴③:立地選びの失敗
「家賃が安いから」「雰囲気が良いから」だけで物件を決めると、後悔します。
●人通りが多い=儲かる、ではない
駅前の一等地に出店して1年で閉店したカフェがありました。
人通りは多い。でもみんな足早に通り過ぎるだけ。
駅前は「移動する場所」であって、「ゆっくりする場所」ではなかったのです。
しかも家賃が高い。売上の20%が家賃で消え、利益はほとんど残りませんでした。
●お客様がいない立地
「静かな住宅街でゆったり過ごせるカフェ」をコンセプトに開業したオーナーもいました。
雰囲気は良い。でも平日昼間に来店できる人(主婦、リタイア世代)がその地域にほとんどいなかった。住民は会社や学校に行っています。
「ここでやりたい」と「ここで売れる」は別物です。
立地を選ぶ前に、ターゲット顧客が実際にいるのか、家賃は売上の10%以内に収まるのか、
冷静に分析しましょう。
■落とし穴④:メニュー設計のミス
「美味しいものを出せば客は来る」と考えて、メニューを作り込んでしまう失敗パターンがあります。
●メニューが多すぎる
開業時に30種類以上のメニューを用意したカフェがありました。
パスタ、カレー、サンドイッチ、スイーツ、ドリンク各種。
確かに選択肢は豊富でしたが、すぐに問題が起きました。
食材の種類が多すぎて、仕入れコストが膨らむ。使い切れない食材が廃棄される。
オペレーションが複雑で、提供に時間がかかる。スタッフの習熟にも時間がかかる。
結果、原価率は40%を超え、提供スピードは遅く、顧客満足度も低下しました。
●原価率を計算していない
「こだわりの食材を使った本格カレー」を看板メニューにしたカフェもありました。
食材にこだわるのは素晴らしいことです。しかし、原価を計算していませんでした。
材料費だけで700円。販売価格は1,200円。原価率58%です。
飲食店の原価率は30%前後が目安。
50%を超えると、人件費や家賃を払えば赤字です。
看板メニューが売れれば売れるほど、赤字が膨らみました。
■成功するメニュー設計
メニュー設計で大切なのは:
・少数精鋭:最初は10品目以内に絞る
・原価率30%以内:計算してから価格を決める
・オペレーションがシンプル:一人でも回せる仕組み
「あれもこれも」ではなく、「これだけ」に絞る勇気が必要です。
まとめ:カフェ開業前に必ず確認すべき4つのポイント
「カフェ経営は難しい」「やめておけ」「開業は甘い」確かにカフェ経営は厳しいです。
廃業率60%という数字も事実です。 しかし、成功しているカフェも多く存在します。
その違いは何か?この記事で解説した4つの落とし穴:
1.「好き」だけで始めない → カフェのコンセプトを明確にする
2.資金計画を甘く見ない → 運転資金は家賃の10ヶ月分
3.立地を感覚で選ばない → ターゲット顧客がいるか分析
4.メニューを作り込まない → 少数精鋭、原価率30%以内
これらを避けるだけで、失敗のリスクは大幅に減ります。
では、失敗を避けた上で、どうすれば長く愛されるお店を作れるのか?
実は、10年以上続いているカフェには共通点があります。
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