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4/26/2024

コラム

【奨学金の減額方法】あっさり減額できる人、できない人。条件や手続きについて



奨学金の返済は、多くの若者を経済的に圧迫する大きな問題となっています。
安定した収入を得ることが難しい非正規雇用の人にとっては、月々の返済がひとつの重荷となり、生活設計や将来の貯蓄にも影響を及ぼしかねません。

そういった場合多くの人は、「給料が減って、月々の支払いが厳しい...」「月々の返済をどうにか減額できないのだろうか...」「減額出来る方法なんてあるのだろうか...」など考えたことがあるのではないでしょうか?


実は...条件などによってはあっさり減額をする方法があるのです。


日本学生支援機構(JASSO)が行う奨学金には、返済の負担を軽減できる制度が用意されているのをご存知でしょうか。
今回は、この「減額制度」の概要と具体的な手続き方法、さらに減額以外の返済の負担軽減策についても詳しく解説します。


※日本学生支援機構の奨学金は「返還」としていますが、本記事では「返済」と記載します。




 奨学金の減額はあっさりできるって本当?



奨学金を受けている多くの人にとって、返済額の減額は切実な関心事です。しかし、実際に減額が可能かどうかは、契約内容や所得状況、返済状況などによって異なります。
ここでは、奨学金の減額方法と、あっさり減額することが可能なケースについて解説します。


奨学金を減額できる制度がある

JASSOの奨学金には、毎月の返済額を最大で2分の1または3分の1まで引き下げることができる「減額返還制度」が設けられています。


この制度は、経済的な困難、失業、病気、災害などにより毎月の返済が難しくなった場合でも、延滞せずに計画的に返済を行えるよう支援するためのものです。

奨学金の返還期間は、返還金額を2分の1にした場合は返還期間が2倍に、3分の1を選択した場合は3倍に延長されます。
また、利息を含む返還予定総額は、どちらも返還期間の長さに関わらず変わりません。
返還期間の延長は1年ごとに申し出ることができ、最長で15年間の返還が可能です(例えば、5年分の返還金額を15年かけて返還することができます)。
ただし、延滞が発生すると願出が行えなくなるため、延滞が発生する前に申し出ることが重要です。


例えば第一種奨学金(無利子)で毎月1万円の返済が必要な場合、減額が認められれば最大で5,000円または3,333円にまで月額の返済負担が軽減されます。
利子付き第二種奨学金の場合も同様に、最大で2分の1または3分の1への減額が可能です。
この制度を利用すれば、毎月の返済負担を大幅に軽くすることができます。(※返還予定総額が減額されるわけではありません。)



減額を申し込む方法


減額を希望する人は、スカラネット・パーソナルから申請を行うか、JASSOに申請書「奨学金減額返還願」を郵送にて提出する必要があります。

申請書の入手方法は、ウェブサイトからダウンロードを行い、入手することができます。

減額返還を願い出る際は、通常割賦金の返還が困難な状況を証明する書類を添付することが必要です。
まずは願出する事情を確認しましょう。詳しくは「減額返還証明書一覧」をご確認下さい。

その他の必要書類は願出する事情によって異なります。



減額はいつからされる?


申請が通れば、翌々月分(2カ月後)の返還額から減額された金額で返済を行うことになります。
また、審査の過程で追加の書類提出を求められる場合もあり、減額の時期が大幅に遅れる可能性もあるため、検討される場合は早めに準備を行いましょう。

※希望する月の前々月末までに申請を行わないと、審査中に減額返還を希望する月が到来し、登録口座から通常の返還月額で振替えられる場合があります。


奨学金の「減額対象」あっさりできる人、できない人



減額返還制度は、災害や病気、またはその他の経済的な事情で奨学金の返済が難しい方々を支援するための制度です。
この制度を利用することで、奨学金の月々の返済額を減らし、返済期間をそれに応じて延長することが可能となります。
これにより、返済者は経済的な負担を軽減しつつ、計画的に返済を進めることができます。


減額制度の適用には一定の条件があり、誰もが無条件で減額を受けられるわけではありません。
ではどういった状況なら減額返還制度を利用できるのかを具体的に説明いたします。


返済がむずかしい状況であること

減額の最重要条件は、収入が一定水準を下回り返済が困難な状況になった場合になります。
具体的には以下の条件になります。


【収入・所得金額の目安】

・申請時点での前年収入が「325万円未満」である。

・もしくは、所得証明書等の年間所得金額が「225万円未満」である。


【適用される事由について】

経済困難な方

新卒者や退学者の方で、無職・未就職など低収入の方

傷病により、無職で返還困難な状態の方

災害により、返還困難な方

失業中で通常割賦金の返還が困難な方


延滞していない

もし奨学金の返済を滞納(延滞)していると、減額対象外となります。
減額を希望するなら、まずは延滞解消が前提条件となります。

減額返還制度を無事に受けても返還金の振替が2回できなかった場合には、延滞発生時に遡り延滞扱いとなり、
減額返還の適用が取り消されます。参照元:日本学生支援機構



口座振替(リレー口座)の加入者

減額の適用には、口座振替による自動返済が義務付けられています。
従来の払込取扱票での返済では減額できず、口座振替への切り替えが必須条件となります。
リレー口座への加入手続きが済んでいない人は、まずその手続きから行う必要があります。

リレー口座への加入方法については、コチラをご覧ください。



月賦返還であること

月々の分割返済(月賦返還)をしている人のみが減額の対象になります。
月賦以外の返還方法(年賦、半年賦、月賦・半年賦併用)で返還している方は、
自動的に月賦の返還方法に変更されます。※減額返還終了後も継続されます。


奨学金の減額・収入基準を超える(年収325万以上)場合



年収325万円以上・所得額225万以上でも減額申請できる

先に述べた収入基準を超えていても、例外的に減額申請ができる場合があります。
これは収入が一定水準を上回っているものの、同居家族の人数が多かったり、各種控除があったりと、
収入以外の要素で総合的に実質的な生活負担が判断されるためです。



対象となる条件について

【給与所得者の場合】 

年収が325万円を超える方でも、医療費や生活費の補助、または災害に関する支出などの特別な支出がある場合、
所定の控除を適用することで年収が325万円以下になる方。

【給与所得以外の所得を含む場合】

所得金額が225万円を超える方でも、上記のような特別な支出( 医療費や生活費の補助、または災害に関する支出 )がある場合、
控除後に所得金額が225万円以下になる方。


収入超過でも例外適用となる主な条件は以下の通りです。

・本人の被扶養者がいる

・本人の被扶養者以外の親への生活費補助を申告する場合

・本人の被扶養者以外の親族への生活費補助を申告する場合

・本人にかかる医療費を申告する場合  ※ (本人が傷病であり、その加療期間が6か月以上であること)

・本人の被扶養者が傷病であり、その加療期間が2週間以上である場合

・本人が罹災し、住宅取得費・自宅修理費・車購入経費等、災害に係る支出がある場合

基準超過でも上記のような条件を満たせば、減額が認められる可能性があります。



減額以外の3つの負担軽減方法


JASSOの奨学金返還に関する負担軽減方法として、減額返還制度の他に以下の3つの方法があります。

1.所得連動返還方式に変更

2.返還期限猶予制度

3.奨学金返還支援(代理返還)制度


収入に応じた返済額の調整

返済者の年収に基づいて、月々の返済が決まる「所得連動返還方式」で経済的に厳しい場合でも返済の負担を軽減できます。


【所得連動返還方式とは】

所得に基づく返済方式で、返済額は前年の所得に応じて決定されます。
所得が低い場合は返済額も少なくなり、所得が増えれば返済額も増える仕組みです。


【返済額の見直し】

毎年、返済額の見直しが行われます。これにより、返済者の経済状況の変化に柔軟に対応できます。


【返済期間の流動性】

返済額が一定ではないため、返済期間も変動します。
収入が増えれば返済期間が短くなり、収入が減れば返済期間が長くなる可能性があります。


【注意点】

この救済制度で返済総額が減るわけではなく、収入の変動がある場合は、返済が長期化する可能性があります。

また、奨学金の返済が始まって、一度「定額返還方式」から「所得連動返還方式」に変更してしまうと、
その後は「所得連動返還方式」から「定額返還方式」に戻すことはできません。 
※参照元:所得連動返還方式への変更


返済を待ってもらう

経済的困難、災害、病気などにより奨学金の返済が困難な場合に、返済を一時停止し、
その期間分返済期限を延長する制度「返還期限猶予」があります。
※例:3ヶ月間の返済猶予を受けた場合、返済完了予定が3ヶ月延期されます。


【利用条件】

・給与所得者: 年収が300万円以下

・給与所得者以外: 所得額が200万円以下

・延長期間: 1年ごとの申請で最大10年(120ヶ月)まで

・特例: 災害や病気、生活保護受給中、または産前・産後休業、育児休業中の場合、延長年数の制限はありません


【申請方法】 

返還期限猶予の申請は、日本学生支援機構の公式ウェブサイトから行うことができます。



返済が免除される場合

【 返済免除の条件 】

・死亡または障害

奨学金利用者が死亡した場合や、精神・身体の障害で返済不能になった場合、返済が免除されます。
ただし、免除を受けるには家族や親族が必要な手続きを完了させる必要があります。


・障害の詳細

医師の診断により、症状が固定し回復見込みがなく、労働能力が喪失または大幅に制限される場合に限り、
返済免除を申請できます。貸与中や在学中は申請が行えません。


【 優れた業績による返済免除 】

・対象者

 大学院で第一種奨学金を受けた学生で、貸与期間中に優れた業績を挙げた者。


・業績の範囲

 学問的成果、発明・発見、文化・芸術・スポーツでの活躍、社会貢献活動など。


・申請プロセス

貸与終了時に大学に申請し、大学長の推薦を受けた者が対象。返済免除の可否と免除額は、
日本学生支援機構の審議を経て決定されます。




勤め先の企業が、返済を支援してくれる制度



奨学金返還支援(代理返還)とは


JASSOの奨学金返還支援(代理返還)は、従業員の奨学金を企業が一部または全額返済する制度です。
この制度はJASSOに登録された企業が利用できます。

対象業種は、サービス業・卸売業・小売業・製造業など、多様な業種の企業が制度を導入しています。

登録されている企業や支援の条件、内容などの情報は、JASSO公式ウェブサイトで確認できます。
登録企業の確認はコチラ



支援制度の活用で「返済負担を減らせる」


奨学金返還支援(代理返還)を利用することによって下記のようなメリットがあります。


【主なメリット】

・返済の負担軽減:奨学金の返済を企業が肩代わりすることで個人の経済的負担が軽減されます

・仕事への集中:負担が減り返済の心配がなくなることで仕事に集中できるようになります

・財政的余裕:経済的な余裕が生まれ貯蓄が可能になります


【税金のメリット】

・奨学金返済は企業が直接、日本学生支援機構に送金するため、非課税になります


【収入への影響】

・奨学金返還支援:企業による支援を受けることで、個人の直接負担する返済額が減少します

・給与の安定:手取りの給与額に変動がないため、所得増加に伴う税金や社会保険料の上昇の心配がありません



支援制度の活用で「返済期間が短くなる」


奨学金返還支援(代理返還)制度を利用することによって、返済期間を大幅に短縮することができます。
通常15年かかる返済が、制度を利用することで8年程度で完済することも可能です。

企業の支援により、長期にわたる返済期間が短くなり、毎月の返済負担を軽減できるので検討してみてはいかがでしょうか?


まとめ



奨学金の返済は、決して軽い負担とは言えません。
しかし、返済額の減額制度はじめ、状況に応じて柔軟に制度を活用することで、大幅な負担軽減を図ることができます。
返済の悩みは一人で抱え込まず相談をし、自分の状況にあった制度を利用することが重要です。
上手に活用すれば、生活をよりゆとりを持って過ごすことができるはずです。一人一人の状況に合わせて、ベストな方法を見つけていきましょう。


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